GCPの切り札「BigQuery」とは?AWSとの違いから学ぶデータ基盤の重要性
Meg
Meg
2025-10-14
AWSが「リフト&シフト」で先行したクラウド市場に対し、GCPは「サーバーレス」技術と、その最終的な切り札である「BigQuery」で差別化を図っています。本記事では、GCPの戦略的背景を解説し、BigQueryがなぜ重要なのかを明らかにします。プロジェクトを跨いでデータを接続できる唯一のサービスであるBigQueryの強力な機能や、「データセット」「テーブル」「ビュー」といった基本概念を理解し、これからのデータ基盤構築に役立てましょう。
Q1.

Google Cloud Platform (GCP) の BigQuery における「データセット」の役割とは?

A. 1つの分析テーマに関連するテーブルやビューをまとめるためのもの

このトピックについて、BigQuery のデータセット(Dataset)の役割、その構造上の位置づけ、そして分析においてなぜこの概念が重要なのかを詳しくご説明します。

1. データセットの定義と BigQuery 構造内の位置づけ

データセットは、BigQuery のデータ管理構造における、プロジェクトとテーブル/ビューの間に位置する 論理的な容器(コンテナ) です。

階層 概念 説明
最大単位 プロジェクト (Project) サービスを隔離・管理する単位。BigQueryのみがプロジェクトを跨いでデータ接続が可能です。
中間単位 データセット (Dataset) テーブルやビューを格納する容器であり、1つの分析テーマに基づいて作成されます。
最小単位 テーブル (Table) / ビュー (View) 実際のデータ(テーブル)や、整理・引用されたデータ(ビュー)が物理的または論理的に保存される場所です。

2. データセットの主な役割と目的

データセットの最も重要な役割は、 データの体系的な整理効率的な分析の基盤 を提供することです。

A. 分析テーマに基づいたデータのコンテナ

データセットは、単なるストレージのフォルダではなく、「1つの分析テーマがあったら、1つのデータセットを作りましょう」 というルールに基づいて作成されます。

  • 具体例: サッカー協会のデータ分析の例では、「2025年の全リーグのサッカー選手のデータ」というテーマがある場合、そのテーマ専用のデータセットを作成することが推奨されています。
  • 業務上の利用例: 業務で利用するデータの場合、「フライヤー」というデータセットの中に、チラシシステムのデータが格納されていることが確認されています。

B. BigQueryの設計思想の実現

データセットの概念は、「バラバラのデータを用意した方が効率がいい」という BigQuery の基本的な理念を反映しています。

  • 効率的な分析: BigQueryでデータ分析を行う際、全てのデータを「1つの巨大で重いテーブル」(タブローのようなローカルツールで一般的な手法)にまとめるのではなく、データセットというテーマ内で、地域別、年齢別、契約別などの細かいテーブルに分けて管理する方が、フィルタリングや詳細な分析の際に効率的であるとされています。
  • データ連携の起点: データセットは、そのテーマに沿って作成されたテーブルやビューの連携を管理し、分析者が容易に目的のデータにたどり着けるように機能します。

3. データセットの応用(バージョン管理と引用)

データセットは、時間の経過やバージョンの変化に伴うデータの管理にも応用されます。

  • バージョン管理: 例えば、「バージョン1」から「バージョン2」というように、データセット名を見るだけで 「このプロジェクトの中にデータセット名を見て、こういうテーマで探す」 ことが可能になります。
  • テーマベースでの引用: 2025年のデータセットを作成した後、2026年のデータセットを作る際に、2025年のデータを参照(引用)したい場合は、2026年のデータセット内にビューやテーブルを作成して引用処理を行うことが、テーマベースでの運用として推奨されています。

データセットの概念を理解することで、単にデータを保存するだけでなく、組織的な分析ニーズに対応できる体系的なデータ構造を BigQuery 上に構築できるようになります。


Q2.

GCPとAWSの比較において、かつてオンプレミスのシステムをAWSへ移行する際に用いられた主要な手法として言及されたものは何ですか?

A. リフト&シフト(Lift & Shift)

「リフト&シフト(Lift & Shift)」は、クラウドコンピューティングの初期段階、特にAWSが市場を先行していた時代において非常に重要な戦略でした。

この「リフト&シフト」戦略がIT業界の変遷とGCP(Google Cloud Platform)の優位性という文脈において、何を意味し、どのように利用されていたのかを詳しく解説します。

1. リフト&シフトの定義と戦略的背景

リフト&シフト(Lift & Shift)とは、企業が以前から持っていたオンデマンド(オンプレミス、自社サーバーなど)のITシステムや資産を、 大きな改修を加えずに、そのままの仕組みで クラウド環境へ「持ち上げて(Lift)」「移行する(Shift)」手法・戦略 です。

AWS先行時代の遺産

この戦略が主要な手法として用いられた背景には、AWSがGCPに先行して日本市場に普及していたという歴史的経緯があります。

  • AWSの先行: AWSは2005年頃から普及し始め、GCPが本格的に市場に参入した2018年までの約13年間、市場を先行していました。
  • ソフトウェアは資産: 2005年以前にオンデマンドで構築されたソフトウェアは、企業にとって重要な資産であり、最新技術のために「捨ててはいけない」という考え方がありました。
  • 救済の必要性: AWSは、この既存の資産を救うため、新しいインフラ技術への大規模な投資を企業に求めずに、既存の仕組みをそのままクラウドへ移行させる「リフト&シフト」を主要な手法として用いました。

2. リフト&シフトの具体的な実行方法

リフト&シフトの実行は、単にファイルをアップロードするだけでなく、システムのコアな部分を仮想的に移行させる作業を伴います。

  • マシンのクローン: 昔のパソコン(サーバー)のクローンソフトウェアを使って、マシンのバイナリデータ(二進数データ)をAWS上に「復元する」。
  • ネットワーク設定の移行: ネットワーク設定ファイルやノートに記載された設定ファイルを、AWSのVPCネットワークの中に復元する。

このように、サーバーありきの環境を丸ごとクラウド上に再現するために、AWSではVPC(Virtual Private Cloud)やEC2(AWSの仮想マシンサービス)といったサービスが利用されました。

3. GCPの戦略におけるリフト&シフトの位置づけ

GCPは後発であるため、先行者であるAWSが確立したリフト&シフトの市場を無視することはできませんでした。

  • 市場獲得の手段: GCPがVPCネットワークCompute Engine(AWSのEC2とほぼ同等の仮想マシンサービス)を提供している主な理由は、「AWSユーザーを移動させるため」であり、リフト&シフトされたワークロードを受け入れるためだと説明されています。
  • GCP試験の重要テーマ: この「古いソースを持つ会社がどうやってリフト&シフトして Google Cloud を利用するか」というテーマは、Google Cloud Professional Architectureの試験において、3つの仮想会社の課題の1つであり、試験内容の3分の1を占めるほど重要であるとされています。これは、GCPの学習において、リフト&シフトが単なる過去の手法ではなく、現代のクラウド戦略を理解する上で不可欠な出発点であることを示しています。

4. GCPが目指す次のステップとの対比

GCPはリフト&シフト(ステップ1)を通じて既存の資産を受け入れつつも、真に力を入れているのは、より未来志向の サーバーレス技術(Cloud Run/Functions) による新規開発(ステップ2)です。

最終的なGCPの「売り」は、リフト&シフトで持ち込まれた古いデータと、サーバーレスで新しく作られたデータ全てを、BigQueryという共通の基盤で分析できることにあります。

このように、リフト&シフト戦略は、IT業界の変遷期において、企業が資産を守りつつクラウドへ移行するための架け橋となり、その後のGCPの差別化戦略の基盤となった手法であると言えます。


Q3.

BigQueryが他のGCPサービスと異なる特徴的な点として、どのような機能が説明されましたか?

A.作成したプロジェクト間をまたいでデータを参照・追加できる

BigQueryの最も特徴的かつ戦略的に重要な機能の一つです。 このトピックについて、GCPの「プロジェクト」概念の一般的なルールと比較しつつ、BigQueryにおけるこの機能が組織的なデータ分析にどのような意味を持つのかを詳しく説明します。

1. GCPにおけるプロジェクトの一般的な概念

GCP(Google Cloud Platform)では、プロジェクトがサービスやリソースを管理し、隔離するための基本的な単位として機能します。

  • 隔離原則: 一般的に、GCPのサービスでは、あるプロジェクト(例:プロジェクトA)内で作成されたサービスは、別のプロジェクト(例:プロジェクトB)のサービスにお互いにアクセスすることはできません
  • 管理の目的: プロジェクトを作成する意味は、異なるアカウント(ユーザー)や、異なる会社、または部門ごとにサービスを切り替え、リソースを安全に管理することにあります。

GCP(Google Cloud Platform)では、プロジェクトがサービスやリソースを管理し、隔離するための基本的な単位として機能します。

  • 隔離原則: 一般的に、GCPのサービスでは、あるプロジェクト(例:プロジェクトA)内で作成されたサービスは、別のプロジェクト(例:プロジェクトB)のサービスにお互いにアクセスすることはできません
  • 管理の目的: プロジェクトを作成する意味は、異なるアカウント(ユーザー)や、異なる会社、または部門ごとにサービスを切り替え、リソースを安全に管理することにあります。

2. BigQueryが持つ「唯一の違い」:プロジェクトをまたいだ接続

BigQueryは、このGCPの一般的な隔離原則に対して**「唯一の違い」**を持つサービスであると説明されています。

  • 機能: BigQueryだけは、他のプロジェクトと接続(繋げる)ことができると明確に述べられています。
  • 参照・追加のメカニズム: ユーザー(アカウント)が統計的な分析を行うためのプロジェクトCを作成した場合、そのBigQueryの画面には、プロジェクトAのBigQueryデータと、プロジェクトBのBigQueryデータ、そして自分自身のプロジェクトCのBigQueryデータという、3つの異なるプロジェクトのデータが同時に表示されるように設定できます。ソースでは、これは「データ追加」または「引用(インポート)」の概念であると説明されています。

3. プロジェクトを跨いだ接続の戦略的意義(最終的な売り)

この機能は、BigQueryがGCPの「最終的な売り」として位置づけられる根拠となっており、特に大規模な組織のデータ統合において決定的な優位性を提供します。

A. 組織横断的なデータ統合

プロジェクトを跨いだデータ接続の最も重要な用途は、企業が異なる部門や子会社、あるいは異なる店舗(例:東京店舗、名古屋店舗など)が管理するデータを、一元的に集約し、総合的に分析することを可能にすることです。

  • 経営層のニーズへの対応: CTO(最高技術責任者)などの立場の人が、異なるプロジェクト(異なるグループ会社や部門)に分散している売上データなどの情報を、統計用の単一プロジェクトに「引用」し、総合的に管理することが可能になります。
  • DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進: GCPの優位性は、「古い資産(リフト&シフトされたデータ)」と「新しい開発(サーバーレスで生成されたデータ)」の全てを共通の基盤で分析できることにあり、これが企業のDX推進における「一番重要なもの」であるとされています。プロジェクトを跨いだ接続機能は、この「共通基盤での分析」を実現するために不可欠です。

B. 分析基盤の柔軟な構築

この機能は、データセット(分析テーマごとのデータの容器)の管理においても応用されます。

  • 引用による再利用: 例えば、あるテーマ(例:2025年のサッカー選手データ)を格納したデータセットのデータを、別のテーマ(例:2026年の分析)のデータセット内で引用して再利用する際にも、このプロジェクトをまたいだ接続の概念が利用されます。これにより、実データを複製することなく、柔軟なデータ分析環境を構築できます。

BigQueryの「プロジェクトをまたいだデータ接続」機能は、GCPのサービス群の中で例外的な特性を持つことで、組織が持つすべてのIT資産(リフト&シフトされたレガシーデータからサーバーレスで生成された最新データまで)を統合分析し、ビジネス上の意思決定に役立てるための強力なツールとなっているのです。

Q.

BigQueryの「テーブル」と「ビュー」の主な違いとして、どのように説明されましたか?

A. 「テーブル」は永続的にデータを保存するもので、「ビュー」は一時的なデータ置き場である

「テーブル」と「ビュー」の区別は、BigQueryを理解し、効率的にデータ管理を行う上で非常に重要となる概念です。 BigQueryにおける「テーブル」と「ビュー」の役割、およびその違いについて、より詳しくご説明します。

1. BigQueryのデータ階層とテーブル・ビューの位置づけ

BigQueryのデータ構造は階層化されており、テーブルとビューはデータセット(分析テーマごとの容器)の中に格納される、データの最終的な格納形式です。

  • プロジェクト (Project): 最大の管理・隔離単位。
  • データセット (Dataset): 1つの分析テーマ(トピック)に関連するデータをまとめる容器。
  • テーブル (Table) / ビュー (View): データセットの中に存在し、データを保持または参照する最小単位。

2. 「テーブル」(Table):実データの物理的な保存場所

テーブルは、実際にデータが保存されている場所であり、データ分析の基礎となる「原材料」を物理的に保持します。

  • 実データの保存: テーブルは、外部からアップロードされたCSVファイルなどの実データの内容を、BigQuery上に物理的に保存します。
  • アイコン: テーブルのアイコンは、実的なものを表すデザインであると説明されています。
  • 業務上の操作: クライアントへの説明業務の文脈では、新しいCSVデータをアップロードする手順は、新しいテーブルを作成する手順として具体的に指示されています。また、古いデータを削除する操作も、テーブルに対して行われます。

3. 「ビュー」(View):整理・引用されたデータの論理的な定義

ビューは、クエリの結果を仮想的に見せるという正解の通り、実データは保存せず、既存のデータ(テーブルなど)を論理的に定義・引用するために使用されます。

  • 引用の役割: ビューの主な役割は 「引用」 です。他のデータソースから持ってきたデータや、他のテーブルのデータの一部を参照する際に利用されます。
  • データの整理・整形: ビューは、データ分析に必要な データの整理(クリーンアップ) や、整形されたデータ を「一旦保存しておこう」「綺麗にした後で保存しておこう」という用途で使われます。実データを変更することなく、特定の分析目的に合った形にデータを定義し直すことができます。
  • アイコン: ビューのアイコンは、実的なテーブルとは異なり、点線的なもの を表すデザインであると説明されています。

4. 概念の違いの重要性

テーブルとビューを区別して使用することは、BigQueryの設計思想と、効率的なデータ分析に不可欠です。

BigQueryは、「1つのテーマ(データセット)の中に、地域別、年齢別など、バラバラの細かいデータ(テーブル)を用意した方が効率がいい」という理念に基づいて設計されています。

ビューは、このバラバラに存在する実データ(テーブル)を組み合わせたり、フィルタリングしたりして、論理的な形で利用することを可能にするため、BigQueryにおける柔軟かつ体系的なデータ分析を支える重要な要素となっています。