皆さん、良い週末を!今日は純粋なコードの話ではなく、実際に手に取って触れるハードウェア、物理的なIoTプロトタイプ開発というハードコアなテーマでお届けします。
私は2012年にはすでに独学でホームセンターに通い、ネジや鉄棒を買い集めて完全手作りで3Dプリンターを「錬成」したほどのハードコアなメイカー(創客)です。ArduinoやRaspberry Pi、そして秋葉原の裏手にある千石電商は、まさに私の心の故郷と言えます。本来なら、AIの力を借りずとも、自分の両手とCADソフトが詰まったPCさえあれば物理プロトタイプくらい作れるはずでした。
しかし、2026年の現在、OpenAIが先日まったく新しいCodexプラグイン(そう、Codex for every role, tool, workflow を掲げたあの大型アップデートです)をリリースしました。テクノロジーの最前線を走る人間として、私はある「お遊び」を思いつきました。「自分の脳の主導権を完全にAIに委ね、CodexのComputer Use機能を通じてブラウザ上のOnShapeを操作させ、3D製品のデザインをやらせてみよう」と。
結果はどうだったか?一言で言えば、「鳥肌が立つほど驚嘆したが、脳がゲシュタルト崩壊を起こすほど疲れ果てた」です。
事の始まり:荒川を散歩中に閃いたアイデア
今日は休日。朝のサイクリングはお休みして、家の近くにある荒川(東京で最も長い川)を散歩することにしました。 そよ風が吹き、青空が広がり、周りには誰もいない。こうした環境は脳を空っぽにするのに最適で、私の脳内からはドーパミンがドバドバと分泌され、アイデアが次から次へと溢れ出てきました。
このインスピレーションを逃さないよう、歩きながら音声を録音することにしました。ちょうど数日前にマイク付きのスポーツ向けBluetoothイヤホンを買ったので、録音しようぜ。
しかし、すぐに大きな問題に直面しました。日本では、歩きながらスマホを見る行為は「ながらスマホ」と呼ばれ、マナー違反であるだけでなく非常に危険です。ルールを守る善良な市民であるために、私はスマホをポケットに仕舞い込むしかありませんでした。
そうなると、急に不安が襲ってきます。「ポケットの中のスマホは、本当に録音を続けているだろうか?自動ロックがかかった後にアプリがシステムに強制終了されていないか?あるいは、誤タッチで通話が切れたりしていないか?」 空気に向かって熱弁を振るった挙句、スマホを取り出したら何も録音されていなかった……なんてことになれば、目も当てられない公開処刑(社会的一死)です。
ここでペインポイント(課題)が生まれました。「ハンズフリー(両手が塞がっていない状態)でありながら、録音機器が作動中であることを視覚的に確認できるデバイスが必要だ」と。
企画の立案:Geminiを「チーフ・プロダクトマネージャー」に
帰宅後、私は散歩中に録音したあの支離滅裂で長い音声データを、そのままGeminiに放り込みました。流石と言うべきか、今のAIの要約能力は凄まじく、私のために2つの進化案を整理してくれました。
Geminiによる録音分析レポート
- 案1:一体型小型録音デバイス
- ハードウェア:耳掛け式の本体 + メガネのテンプル(つる)やレンズの縁まで伸びるミニインジケーター。録音時は点滅、切断時は消灯。
- ペインポイント:低消費電力とデバイス全体の軽量化を両立させる必要がある。
- 案2:純粋なBluetoothインジケーター(私が推したいイテレーション案)
- コアロジック:ハードウェア側では録音せず、録音はスマホのアプリで行う。
- 連動:アプリが録音を開始すると、BLE(Bluetooth Low Energy)経由で外部インジケーターを点灯させ、停止すると消灯する。
- メリット:ハードウェア構造が大幅に簡素化され、サイズと消費電力を最小限に抑えられる。
よく考えると、案2の方が検証が容易です。方針が決まったので、次は日本市場でのリサーチ(簡易市場調査)に移ります。
ここからが本番:Codexを召喚して「Product Design」の自動化モードを起動
公式URL: 2026年6月2日:あらゆる役割、ツール、ワークフローに対応する Codex
Product Design
初期のアイデアを、チームでレビューできるプロトタイプへと落とし込みます。製品の方向性の模索、ユーザーフローの監査、ユーザーフリクション(離脱要因)の調査、ライブURLからのプロトタイプ作成、そして静止画スクリーンショットのインタラクティブ化などに対応。テキストの要件定義書、URL、スクリーンショット、または既存のデザインからスタートし、実際の開発(ビルド)前に視覚的な方向性を比較検討できます。使い慣れたブラウザ、Figma、Canva、画像生成、ホスティングツールを活用して、リファレンスの収集、コンセプトの作成、結果のレビューを行い、チームと共にプロジェクトを前進させましょう。

ここからがハイライトです。私はCodexを開き、そのPlanモードを起動して最新の Product Design プラグインをマウントし、核心となる要求を投げかけました。
[@product-design]
これが私のアイデア(idea.md)です。製品のコンセプトをブラッシュアップしてください。
特に、日本国内で購入可能な既存の類似製品や、軽量・小型のBLE開発ボード、そしてバッテリーのソリューションをネットでリサーチしてください。
その上で、製品提案および調査報告書をHTML形式で生成してください。
可能であれば、GPT Image2などを使って、コンセプト画像、プロダクトデザイン図、システム設計図、3D設計図なども生成してください。
7分。わずか7分です。 Codexは凄まじい勢いで処理を進め、一連の見事なHTML調査報告書、部品選定、そしてコンセプトデザイン図を吐き出しました。私は思わず「すげえな」と声を上げました。現在のAIの効率は、すでにここまで恐ろしい領域に達しているのです。 しかも素晴らしいことに、Codexはネットを検索し、どんな量産型BLE開発ボード(例えばM5StackのATOM Matrixなど)やボタン電池のソリューションがあるかまで調べてくれていました。本当に感動し、感謝しかありません。

避坑の重要ポイントと震撼の瞬間:FreeCADからウェブ版OnShapeへの切り替え
プランができたので、次は大胆な挑戦です。CodexのComputer Use機能を使って、CADソフトを操作できるか試してみます。 正直、本当にそんなことができるのか、少し不安もありました。しかし、私は圧倒的な実行力を持つ人間です。何はともあれ、まずはやってみることにしました。
最初、私はこう考えました。「CodexにComputer Use(PC操作能力)が実装されたのなら、ローカルにFreeCADをダウンロードして、私のデスクトップアプリを直接操作させてモデリングさせた方が効果的なのではないか?」と。
🛑 失敗から得た教訓(落とし穴への警告): 理想は高かったのですが、現実は甘くありませんでした。FreeCADのUIは、AIにとって優しくなかったようです。Codexはアプリの操作中に起動画面でフリーズし、行ったり来たりを繰り返しました。30分近く待ちましたが、全く進展がありません。 経験からの結論:現段階でComputer Useを使ってローカルの従来型ソフトを操作させるのは、UIのインタラクションが標準化されていないため、AIが迷子になりやすい。UI/UXデザインがよりモダンで標準化されているウェブベース(Web-based)のツールを選ぶのがベストです!
そこで私は即座に損切りし、ブラウザでOnShape(インストールのいらないオンラインのプロ向けCADツール)を開き、Codexに新たな指令を下しました。
FreeCADはうまく動かないようです。別のツールに切り替えます。ブラウザ版のOnShapeです。
これを使ってCADのプロトタイプデザインを行ってください。現在のPCのブラウザですでにOnShapeを開いています。
これを操作して、製品のプロトタイプを作成してください。
ここからの光景は、まさにSFでした。 3分。わずか3分です! Codexは私のブラウザウィンドウを介して、OnShape上で見事な3D設計図をゼロから「描き」出したのです!

さらなる要求:3Dデザインを描かせるだけでなく、その使い方まで解説させる
Codexのポテンシャルを限界まで絞り出すため、私はさらに要求を追加しました。
素晴らしい。では質問です。あなたがデザインしたこのCADモデルを、私はどうやって使えばいいですか?
例えば、Matrixのデバイスをどうやって取り付け、どうやって帽子に挟むのでしょうか?
このCADデザインと組み合わせて、取り付け・使用方法のマニュアルを作成してください。必ず画像を添えること。
SVGで図を描くのではなく、OnShapeの機能を使って図を出力し、さらにGPT Image2と連携して高品質な画像を生成してください。
このステップは人間にとってもかなり頭を使う作業ですが、Codexは「思考+操作」を約17分間続けました。そして、最終的な取り付けコンセプト図と説明書が吐き出された時、私は正直、圧倒されました。

振り返り:客観的分析 — AIモデリングの光と影
非常に素晴らしい出来栄えですが、ベテランのメイカーとして冷静にデザインを観察すると、やはり問題も見えてきました。
- 👍 良かった点(光):ケース全体の固定に関する発想が非常に巧妙です。構造が洗練されており、メガネや帽子のつばに挟むというユースケースがしっかりと考慮されています。
- 👎 失敗した点1(影):寸法の計算が甘いです。このケースの内部容積では、市販のATOM Matrixのハードウェアをぴったり収めるのは実際には難しいでしょう。
- 👎 失敗した点2:クリップ部分の構造デザインが薄すぎて、脆弱です。実際の3Dプリントでは、積層間の応力によって簡単に折れてしまう可能性が高いです。
しかし、そんなことは問題ありません!これはわずか20分の間に「無」から生成されたプロトタイプなのです。残された作業は、人間のエンジニアが細部を微調整し、反復(イテレーション)を繰り返してブラッシュアップしていくだけです。
新旧の開発モード比較
今回の体験を通じて、私は「AI時代のハードウェア開発」に対する認識を新たにしました。
| 評価軸 | 従来の試作モード | Codex + AI協調モード |
|---|---|---|
| 検証サイクル | 脳内にアイデアが浮かぶ → 手動で図面を描く → 3Dプリントを待つ(4〜8時間) → 実物を見てダメだと気づく → 最初からやり直し。 | 脳内にアイデアが浮かぶ → AIが20分で視覚的な推論プランを生成 → 人間の脳はそのプランをベースに、先のいくつかの工程を先読みできる。 |
| 脳のエネルギー消費 | プリントを待つ間、脳は強制的に休息・サボることができる。 | イテレーションの速度が極めて速いため、人間の脳は高速回転を維持し、指示の入力と修正を続けなければならず、極めて脳が疲れる。 |
| 感情のコントロール | 冷徹な機械を相手にするため、人間は理性的でいられる。 | 進化が早すぎるため、人間のペースがAIのフィードバックについていけない時、AIの幻覚(ハルシネーション)やミスに対して感情的にイライラしがちになる。 |
究極の気づき:シンギュラリティ(技術特異点)が訪れる前、何が核心的な競争力になるのか?
現在のAIと協働していると、私はますます「経営者(ボス)」のようなマインドセットになっていくのを感じます。
時にAIを「頭が悪い」「幻覚を見る」「言うことを聞かない」と感じることがありますが、振り返ってみれば、多くの場合、指揮を執る「私」の能力不足が原因です。発した指示の文脈が曖昧だったり、粒度がバラバラだったりするのです。AIが作業の途中で迷子になり、それに対してボスが怒る――それはまるで、アニメに出てくるような、感情的に怒鳴り散らすだけで要求を明確に伝えられないダメな上司と同じです。
技術的特異点(シンギュラリティ)が到来する前、次の時代へと言い渡される(成功を収める)人物は、現代社会における「スキル至上主義」とは異なり、「成熟したメンタル」と「動じない心(マインドセット)」の方が遥かに重要になってくるでしょう。
焦らず、愚痴を言わず、欠点ばかりを突いて重箱の隅をつつかない。同時に、高速でイテレーションを回し、素早く切り替えるアジャイルな行動力を身につけること。AIが10回失敗しても、決して諦めずに導き、修正し、前を向いて歩み続けられる人こそが、未来における最もハードコアな「スーパー個人」になれるのです。
シンギュラリティ(Singularity)とは、英語で「特異点」を意味します。主にAI(人工知能)の分野において、人工知能が自己進化を繰り返すことで、最終的に人類の知性を超える転換点(技術的特異点)を指します。
さて、今日のハードコアな雑談はここまでです。今回のAI協調体験は、本当にエキサイティングで楽しいものでした。荒川の散歩から始まったこの物理IoTの小さなプロジェクトは、また少し時間を置いて、週末にでも進めていこうと思います。それでは、また次回お会いしましょう!

